波佐見焼の焼き方とは?波佐見焼の製作過程をご紹介します!
波佐見焼がどのようにつくられているのかご存じですか。
一つの作品をつくり上げるために、どのような工程があるのでしょうか。
そして波佐見焼にはどんな歴史があり、今も愛される陶磁器になったのかでしょうか。
今回は、波佐見焼の焼き方と歴史についてご紹介します。
波佐見焼の焼き方とは?
波佐見焼には、8つの作成工程があります。
1.陶石・粉砕
波佐見焼の原料は、天草半島(熊本県と鹿児島県にまたがる諸島)から発掘された粘土の陶石の天草陶石(あまくさとうせき)です。
有田焼や信楽焼などほかの陶磁器にも使用されます。
陶石をまず粉砕し、手作業で1等級から5等級に分類します。
その後、分けられた陶石を粉砕し、粉砕された陶石を攪拌層(こうはんそう)に入れて珪石(けいせき)粒を取り除く作業の水簸(すいひ)を行います。
鉄分を除去し、圧力をかけて脱水をします。
水分の抜けた土を土練り機で練りながら空気を抜きます。
これで第一段階が終了です。
2.成形
機械ろくろや手ろくろなどで形成します。
陶磁器の成形には、手びねりという技法があります。
しかし、波佐見焼で使われることはほとんどありません。
大量生産を行う波佐見焼では、型を使用します。
形成後は、風通しが良く、日当たりの良い場所で乾燥させます。
3.素焼き
乾燥が終わると800度から900度の焼成を行います。
素焼きの目的は、素地の強度を高めることと、下絵付けや施釉(せゆう)をしやすくする効果があるからです。
焼きあがったら、羽放棄などで表面の付着物を取り除きます。
4.下絵付け
釉薬をかける前に行う絵付けは「下絵付け」と呼びます。
下絵付けは筆や印刷で行います。
5.釉かけ
下絵付けが終わると、釉薬(ゆうやく)を付けます。
釉薬は、陶磁器の美しい光沢を出すだけではなく、汚れや防水機能の付加、強度を高める為に行う工程です。
これが扱いやすさにつながっているのです。
6.本焼成
約1,300度で焼き上げる工程です。
焼き上げてすぐ取り出すのではなく、室温近くまで温度をゆっくりと下げ、取りだします。
7.上絵付け
赤絵など、温度の制約を受ける顔料はこの段階で使用します。
上絵付けをした後は750度から850度で焼成します。
金箔を使用する場合は、金彩以外の上絵付けをし、一度焼成を行います。
その後金彩を施し、施釉して約400度の低温で焼成します。
8.検品
一つ一つ検品を行うと、いよいよ出荷されます。
波佐見焼の歴史をご紹介!
波佐見焼の歴史は1590年代頃に始まったとされています。
波佐見焼が注目をされたのは、17世紀中頃の中国の内乱後です。
中国で海禁令が出されたためです。
しかし、中国磁器の輸出が再開されると、海外市場を失いました。
そこで安価で扱いやすい日用食器を生み出すなど国内向けに変更しました。
安価で丈夫そして何より扱いやすいということで人気となりました。
そして、人々の生活スタイルや流行、時代の雰囲気などに合わせてデザインが変わっていき、昭和53年に伝統工芸品の指定を受けました。
まとめ
時代に合わせて変化させることで、現代でも絶大な人気を誇っている波佐見焼の制作工程を紹介しました。
様々な歴史的な背景があったからこそ今の技術が受け継がれ、人々に使用され続けてきているのです。
これからも、この素晴らしい技術を残していきましょう。